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アカショウビン研究

アカショウビンの渡り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年、宮古島で繁殖する夏鳥のアカショウビンにGPSデータロガーを装着し、渡り行動と越冬地を初めて明らかにしました。

宮古島のアカショウビンはフィリピンで越冬すること、渡り中には高度約 4,000 mにも達することがわかりました。また、渡りの途中で宮古島の近くを通過した台風16号に巻き込まれたかもしれないという記録も得られました。

アカショウビンが 4,000 mもの高さを渡ることは意外でした。これはどうやら、アカショウビンがより効率よく渡るための行動であるようです。高度約 2,000 mから 11,000 mには自由大気と呼ばれる地上の起伏や熱対流の影響を受けにくい安定した大気の層があるそうです。長距離を羽ばたいて渡るアカショウビンのような鳥は、自由大気の層まで上昇することで、長距離を効率よく渡っているのかもしれません。

日本に飛来する夏鳥には、過去数十年の間に一旦減少し、その後個体数を回復した種と回復していない種とがいます。

アカショウビンの場合、増減の傾向が地域によって異なり、北海道の集団は1980年代までに激減し、その後復活していません。一方で、本州の集団は1980年代までに一度減少したものの近年になって増えつつあり、南西諸島の集団はこの期間に大きな増減が起きていません。繁殖地である日本の天然林の面積はこの期間にほとんど増減しておらず、アカショウビンの増減の原因として越冬地の環境変化が考えられます。今後の研究では、北海道や本州などの集団も対象として渡りや越冬地を明らかにし、今回の結果と比較する必要があります。

論文:Uemura S, Hamachi A, Nakachi K, Takagi M: First tracking of post-breeding migration of the Ruddy Kingfisher Halcyon coromanda by GPS data logger. Ornithological Science 2019, 18:215-219. DOI: https://doi.org/10.2326/osj.18.215

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アカショウビン渡りHP用.png
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