
リュウキュウコノハズクは琉球列島に生息する小型のフクロウです。
多くの島嶼に生息するため、島嶼生物学や進化生態学の研究を行う上で優れた対象種となっています。
そのため、私たちの研究室では2002年から継続してリュウキュウコノハズクの研究を行ってきました。
琉球列島全体での研究
島は進化の実験場ともいわれ、生態学的・進化生物学的に非常に興味深い対象です。
多くの島に生息するリュウキュウコノハズクは、それぞれの島で独自の進化を繰り返してきたと考えられます。
琉球列島に生息するリュウキュウコノハズクは地理的障壁であるケラマ海峡の南北で2つの異なる遺伝的系統群を形成することがミトコンドリアDNA (COⅠ領域) の解析により明らかになりました。
そして、例外的に沖縄島においては両系統が混在して生息しているようです。
北系統(奄美大島・徳之島)と南系統(宮古島・石垣島など)では羽色が異なり、北系統は南系統よりも羽色が暗いということが明らかになりました。一方で、両系統が混在する沖縄島では遺伝的系統による羽色の違いは見られず、交雑が起こっていることが示唆されました。また、鳴き声はケラマ海峡の南北で異なっているようです。
リュウキュウコノハズクが琉球列島を舞台に隔離と交雑による複雑な進化を今まさにしている事が明らかになってきています。
南大東島での研究
リュウキュウコノハズクの亜種ダイトウコノハズクの研究は2002年から行われている長期研究です。
個体を1羽1羽識別して、何年も追いかけ続ける標識個体群の長期研究が南大東島で行われています。

図 南大東島
沖縄本島から東に300kmの絶海の孤島
大陸と一度も繋がったことのない海洋島
独自の生態系が形成されてきた

図 ダイトウコノハズクの標識
個体ごとに一対一対応で割り振られた足環の色で個体識別
様々な研究の基礎となる
このような研究では、さまざまな形質と遺伝子の情報にあわせて、どの個体がいつどのようにどれだけ子孫を残したかの記録を複数世代にわたって蓄積することができます。
ダイトウコノハズクでは、MHC遺伝型に基づく配偶者選択が行われており、近親交配の回避が起きていることが実証されています。
また、種分化の初期プロセスと考えられている同類交配(類似した形質をもつ個体がつがいになること)が起きていることの実証もなされています。
詳細な追跡が行われている個体群だからこそ、現在進行形の進化を詳細に捉えることができるのです。
詳細な調査が行われている事を活かして、様々な行動生態学の研究も展開されています。
ダイトウコノハズクでは、交尾中の発声によってなわばり主張をしていることが分かってきています。
また、ペア歴の長いつがいでは、雌雄の行動圏の重複が少なくなり効率的に採餌行動をしている事や、
ヒナが血縁個体の声を判別して行動を変えている訳ではない事などが検証されています。
さらに詳しく知りたい方は以下のHPもご覧ください
澤田明のHP
https://sites.google.com/view/akirasawada
ここ最近のダイトウコノハズクの研究に関しては一番詳しくまとめています。
野外調査の内容、遺伝子解析のこと、ここ数年の論文の解説、ダイトウコノハズク保全研究グループのこと、など。
関連論文:
